プロのための木造建築強化ツアー(4)
この研修旅行で学んだこと
日本の材木がなかなか使われないのは価格面もあるけれど、需要があるときに製材所側がきちんと供給できないから、という理由も多いそうです。
良い材がそろわないと、急がされるあまり良い材でなくても出荷してしまう。そんな悪循環もあるそうです。
山長さんは全国のニーズにすぐに答えられるように、本当に山のような在庫(きちんと製材して、すぐに出荷できる材)を準備していました。
でないと、今のスピードに対応できないからだとか。しみじみ江戸時代からのあきんどさんやなぁと感服したしました。
昔のように家1件建つのに1年かかる、とか、大工さんの都合で1ヶ月現場が動かない、とか、そういう事が許される時代ではなくなったのも事実ですが、「家=商品」となってしまった国民の一般常識的な部分もあります。
これは住宅メーカーの戦略にまんまと日本人がはまった訳ですが、結局、そういうニーズが日本人に根深くあったというのも事実です。
値段が竣工するまでわからない、工期も読めない大工さん任せの家と、値段もはっきり出て工期も読め、品質も均一なハウスメーカーの家。
当時はハウスメーカーの家がどれだけ画期的だったか容易に想像できます。
家を商品として売り、早く完成できる、というのも付加価値。良い天然素材を使って、じっくり待って手に入れるのも付加価値。
私達は何を本当に良いと思うのでしょうね。
木は長い年月をかけないと育たない。育つ間もきちんと手をかけていかないと、品質が保てない。一度山が荒れると、元のサイクルに戻すまでまた100年単位での年月がかかる。
↑全て紀州杉ですよ!!
兵庫や滋賀でも山のサイクルをなんとか取り戻そうと、製材所や工務店が色々な取り組みを各地でしています。各地の建築士や著名な住宅作家が国産材を多く使うための取り組みや、国産材を使っても庶民に手が届く良い住宅仕様の開発をされています。
今の私が一設計者として、何ができるのかな、と考えると、とにかく身近な国産材を間柱でもフローリングでもいいから使うこと。お客様にきちんとご説明して国産材を使っていただくこと。
そんな事しかできません。
私は以前、里山管理のボランティアをやってました。民間ボランティアで日本の国土のほとんどを覆う荒れた民地の林業の山の手入れをするのは難しい、という見解でした。
設計の仕事をやっていることで、その難しいと言われた問題に微力ながら向き合えるのだな、と思うと、環境教育なんて事を若い頃に真面目に勉強してきてよかったな、自分の今の仕事がこんなところで結びつくのだな、と。
この18年くらいの自分の動きの点が線に結びつく、なんともいえない感覚を覚えました。
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