なぜ部屋を狭いと感じるのか?

【レトロ・アンティーク・間取り相談・家相診断・関西・福岡の女性建築家(設計士)】

 

主婦で一級建築士の土肥です。

家づくりと切っても切れないのは「整理収納」です。無限に広いお家であれば、整理収納などは必要ないのかもしれませんが(モノの置く場所によって不便にはなるでしょうが)、3次元に暮らす私達は有限の空間しか持ち合わせておりません。

 

お部屋の狭さというのは、まず「空間に対しての物の容積の比率」によって「広い・狭い」という感覚が変わってくると考えています。「使い勝手が良い・悪い」に関しては、通路の広さは大いに影響しますが、そもそも「どこに何を置くか」が重要なので、部屋の広さがあるから使い勝手が良いとは一概に言えません。

 

先日、散らかってもいないのに、どこにも座るスペースが見当たらないLDKにお邪魔しました。6畳間のLDKにご家族3名と自分の計4名なので、そもそも人間だけでけっこう狭い感じなのですが、それにしても狭い。

狭い部屋

ここでふと思ったのは「狭いと感じる部屋は何が原因なのだろうか?」

 

そこで、お邪魔したLDKの「部屋容積に対する家具が占める容積」と「部屋面積と置いてある家具がその床面積に占める面積」を比率で出してみました。

 

そのご家庭のLDKは家具容積が約35%の容積を占め、床面積のうち約47%が家具で占めていました。その結果、メインの通路幅が50㎝を切る場所が発生しています。しかも、その通路はトイレ・お風呂・洗面に続く通路で、ご家族3人で大渋滞します。

 

次に、「狭い」と感じたLDKとほぼ同じ面積の、自分の仕事部屋(個室6畳間)の面積と置いてある家具がその床面積に占める比率を出してみました。6畳間ですので、すごく広くはないですが、4名でお話するには、まあ問題ないくらいの感覚です。

自分の仕事部屋は家具容積が約10%の容積を占め、床面積のうち約29%を家具が占めていました。通路は全て80㎝~90㎝です。個室ですので、特に水回りにつながる動線などはありません。

 

ちなみに、自分の仕事部屋を同じ家具で別のレイアウトにした時は、狭苦しく感じました。その原因は「通路幅」であったことは間違いないです。家具を壁に寄せて、家具と家具の間の通路を広くすると、狭苦しさが無くなりました。また、部屋の空間途中に高さのある家具があると(1.2mの家具で3畳・3畳で分断)、やはり空間を分断して狭く感じました。

 

2つのサンプルデータではありますが、ここでの「狭く感じない部屋にするには」の結論として以下3点だと考えられます。

 

・置き家具はお部屋の床面積の30%以下にしましょう。

・通路は80㎝以上(人がすれ違う通路は1m以上)を確保しましょう。

・4.5畳間ほどのまとまった空間(腰下高~天井までの広がり)を確保しましょう。

 

以上をクリアした上で、あとは使い勝手の問題になります。

 

どのご家庭でもよくあるのは「一番使いやすい場所に、使わないものが置いてある」ことです。先日お邪魔したご家庭も、一番使いやすい収納場所に「いつか読みたい本」「捨てられないモノ」が収納されており、生活で常に使うモノが部屋空間にはみ出し、そのはみ出したモノを収納するために家具を買い、さらにお部屋を狭くしていました。

 

お部屋が片付かないのは、「収納容積に対してのモノが多すぎ、収納できないため」。そして「そこに無くても良いモノがそこにあるため」につきます。そこに無くても良いモノがそこから無くなれば(捨てる・2階など使いにくい収納に移す)、そこにあった方が便利なモノがそこに収納できます。これを繰り返せば、ある程度お部屋は片付き、使いやすくなります。

 

今回は「狭く感じない部屋にするには」というテーマで色々検証しましたが、一つ重要なことは「モノは買って部屋に入れてしまうと、処分するのも大変」ということです。特にご年配のご家庭では家具を捨てる行為は心身ともに一苦労なので、まず、気を付けて欲しい事は「狭くなるほど家具を買わない」ことです。わかりやすいポイントは「通路が80㎝以上(人がすれ違う通路は1m以上)確保できるか?」です。

 

家具を買い過ぎないように(特に収納家具)!!

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