冬至の正午に敷地のどこまで日が当たるかわかりますか?
「間取り」というと「部屋の組み合わせ」だと考えている方が多いと思いますが、それだけでは足りません。
「間取り」とは「その敷地環境に合うような部屋の配置の組み合わせ」
建築士になると、それと同時に構造と屋根の形を考えながらプランを組み立てていきます。
さて、皆さんは
「冬至の正午に敷地のどこまで日が当たるか知ってますか?」
冬至は年によって変わりますがだいたい12月21日か22日です。冬至は1年のうちに一番日が短い日です。この日にきちんとLDに日が当たるか、が「大成功の家作り」のポイントの一つになります。
例えば、敷地の南側に2階建てのお家がある場合。(お互いの敷地に高低差がない場合)そして、2階建ての新築を計画中の場合。
南側のお家の壁と自分のお家の壁が5mしか離れていない場合は冬場は計画中の新築の2階にしか日が当たりません。
これが11m離れていると、1階でも日が当たります。10mくらいでまずまずです。
もし5mくらいしか南側の隣家との距離が取れない場合は2階リビングにするか、吹き抜けを設けて2階からの日差しを1階に入れるようにします。
これはだいたいのイメージですので、現地で確認する方が確実です。もし、土地を探しているのであれば冬至あたりの正午にどれくらい敷地に日が当たっているか確認すると良いです。
そして、冬至あたりの正午の敷地の写真を撮っておきましょう。
(もちろん、天気の良い日に写真を撮りましょう!!)
これで、間取りが出来てきた時に、写真と見合わせれば冬場のリビングに日が当たるかどうか、想像がつくと思います。
日照条件を確認する、という意味では冬に土地を探しをして、実際見に行く方が良いでしょう。夏に敷地を探してしまうと、敷地の隅々まで日が当たってしまっています。
そして、勘違いしてしまいます。
この写真は右側が南側です。
6月21日の夏至(影が一番短くなる日)に撮影しています。
この写真を見て、皆さんどう思いますか?
「日当たりの良い敷地」と勘違いしませんでしたか?
この敷地は冬至(影が一番長くなる日)だと敷地全体が南側の家の影に覆われます。
そのことが想像できましたか?
また「冬至あたりに敷地を見に行けるかわからない」という場合は冬至の南中高度が日本ではだいたい31度ですので南側の建物の高さがわかれば、南側の建物の影がどこまでくるか計算することができます。
だいたいで良いので「30度くらい」と考えれば3の平方根「1.7320504」で計算できますね!!
ちなみに木造2階建ての軒高の一般的な高さは6.4mくらい。計算すると、だいたい11mくらいの影になります。
皆さんにとって重要な事は、間取りが出てきた時に「冬場はこの間取りだと、どんな感じに日が当たりますか?」と、きちんと設計者に問い、具体的に確認することです。
東西に間近に2階建ての家が建っていて、南側の家と5mしか離れていないのに「冬場の1階の日当たりは、大丈夫です!」という担当さんはあきらかにわかってないか、家を売りたいだけの人です。
「プロがそういうのなら大丈夫!」などと鵜呑みにしないように。
結果、日が当たらないことで泣き寝入りするのは、他ならぬ「あなた」です。
ご自分の頭できちんと考えることを習慣づけてください。
ちなみに南側のお家の壁と2mしか外壁が離れていないプランで担当者から「2m離れていれば日当たりは大丈夫でしょ」と言われそれを信じ、結果ほとんど日の当たらない家を建ててしまった方が残念ながら実際にいらっしゃいました。
家が完成してからアースカラー設計にご相談に来られましたが、ローンでいっぱいいっぱいの状況では助けてあげることはできませんでした。このようなことが二度と起こらないように、切に願います。