設計事務所は何をしてくれるの?
実はあまり知られていないのですが「設計事務所は工事ではなく設計(プラン)をする」ということです。
契約関係で説明すると、お客様は設計事務所と「設計監理業務委託契約」を交わし、工事する工務店とは「工事請負契約」を交わします。
図1:お客様と設計事務所・工務店との関係
※設計事務所と工務店は立場は対等で、良い仕事をするための協力関係
設計事務所の最大の特徴は、工事を第三者的にチェックするということです。なので、工事は仕事として請け負わないのです。
設計事務所はあなたの代理人です。
例えば、お客様が直接工務店数社に直接見積もりを依頼したとします。
、自分でがんばって書いた手書きの間取り図、もしくは自分の要望を伝えてを数社の工務店に「概算を出してください」とお願いします。
さて、見積もりが出てきたものの、困るのは以下の点です。
- 各社見積もりの書き方が違うので、きちんと比較できない。各社プランが違えば、なおさら比較できない。
- どんな商品が使われているか、よくわからない。
- 見積もりの金額と内容が妥当なのかわからない。後で追加が出るような事はないのか?
- 自分が工務店に要望した内容・プラン(間取り)が本当に使いやすいかどうか、わからない。
上記を解決するのが設計事務所に設計監理を依頼する事です。イメージは弁護士や行政書士を雇うことに近く、お客様の利益を守るために建築士がお客様の代理人として経験と知恵を駆使して働く、そんな感じです。
設計事務所のプランはどう違うの?
設計事務所が作成するプラン(設計図)は平面図(間取り図)だけではなく情報がたくさん盛り込まれています。
- どんな素材・商品を使うのか
- 壁にどんな棚や飾りをつけるのか
- どんなカウンターを作るのか・幅はどのくらいか
- 壁や床や棚などの仕上げは何にするのか
- 照明の位置はどこか・どんな照明器具か
- コンセントの数はどのくらいか・位置はどこか
- どこにどんな家具を置くのか
- その他お客様と建築士が大切だと考える情報
設計事務所がお客様のご希望や予算を踏まえた上で作成したプラン(設計図)を基に、工務店に見積もり(比較するなら数社)を依頼すると、「同じ条件(設計図)」の内容に対する見積もりが工務店数社から集まってきます。
建築士はプロの目で各工務店の見積もりを比較し、ただ安い・高いという漠然とした比較だけではなく、見積もりの精度や希望している工事内容に抜けがないか、その工務店の傾向と仕事に対する姿勢などを吟味し、本当にお客様にメリットのある業者をお客様と共に選びます。
設計事務所へ依頼の醍醐味
設計事務所の最大の特徴は、「あらゆる知識を駆使して設計する融通性」と「工事を第三者的にチェックする」ということです。
図面通りに工事が進んでいることをチェックするのはもちろん、お客様が工務店に対して言いにくいことでも設計事務所があなたの代わりに工務店に交渉してくれます。完全にお客様側の人間として良き相談相手になってくれます。
これは設計・プランニング(設計事務所)と施工(工務店)が完全に別会社でお客様と別契約であるからできることです。
下の図は「世の中によくある家づくりの契約関係」です。 問題ない時は楽ですが、何かモメた時、何か苦情を言いたい時、建築素人のあなたは建築のプロ集団(工務店)と戦わなければいけません。 言いくるめられない自信がありますか?
図2:よくあるお客様と設計事務所・工務店(設計施工が同じ会社)との関係
※設計と工務店に癒着があると、お客様が困った時に助けてくれるプロはいません。
賢い人だけ得をしている
「設計事務所に依頼すると、高くつくのでは?」と思われがちですが、実はお得です。以下の図をご覧ください。新築の依頼先の場合です。
図3:新築の依頼先の内訳比較
大手ハウスメーカーや工務店系パワービルダーは経費が約半分です。CM・チラシ・モデルルーム等を見れば理解できますよね。他人の無料プランの料金もあなたに乗ってきます。工務店はお施主様の言う通りにしか工事をしてくれません。
設計事務所は「有資格者」「知識を駆使したプラン」「第三者チェック」すべてが揃っているのに、かなりお得です。
次にリフォームの場合です。下記の図をご覧ください。
図4:リフォーム会社に依頼すると、割高な訳
「まったく同じ内容で工事した」としても、リフォームショップ・設計事務所・工務店でこれだけの差が生じます。これも新築の時と同様で「ショールームを構えている」「チラシを配っている」「プラン無料」の業者はその分同じ内容でも割高になりますが、資金力があると考えれば安心感はあります。
特にリフォームショップの営業さんで有資格者の方は少ないので、構造をいじるリフォームなどは設計事務所に依頼した方が無難です。